2010年05月29日(土)

CHhom開校にあたって

インタビュアー:5月にカレッジ・オブ・ホリスティック・ホメオパシー(CHhom)が開校しましたね。なぜ、今「ホメオパシー統合医療専門校」という形で開校されたのですか。

由井学長: ホメオパシー療法というのは、バイタルフォース(自己治癒力)に「あなたの本来の姿は何か」と問いかけることによって、自分の力で治癒に向かっていく療法ですが、レメディーだけではなかなかうまくいかないケースもあります。

たとえば私は、今から30年前に、腰を打ち抜くけがをしてしまったのですけれど、これはものすごく強い力で打ち抜いたわけですよね。そして、それからかなりの時間が経過してしまっています。こういったケースでは、レメディーを与えるだけでなく、痛めた組織そのものをマッサージするとか、血液循環療法とか、組織を温める蒸し風呂とか、ハーブで皮脂腺を開くようなやり方とかが、とてもよいということがわかってきたわけです。

私もホメオパシーを20年やってきまして、ホメオパシーでカバーしきれないパートもあるということを、ちょっと認めなければならないなと思うようになったのです。マッサージや蒸し風呂やハーブ療法などを取り入れて、ホメオパシーと一緒に使うことが、いかによいことであるかがわかったのですね。
ホメオパシーは好転反応が出ますので、どうしても嫌われることが多いのですね。けれどもマッサージとか蒸し風呂はすごく喜ばれるのですよ。特にがんや膠原病などの重い病気の方々は、鍼灸でもよいしビワ灸でもよいし、自己治癒力を使ったあらゆる療法を使って、治癒に導いていくやり方が傲慢じゃなくてよいと思ったのですね。

インタビュアー: それぞれの療法の長所を組み合わせるということですね。

由井学長: そうです。ですから、CHhomのカリキュラムには、そういう自然療法を組み込んでいったのです。ハーブにしても、ホメオパシーと一緒にしたときにクライアントさんのためになるには何が必要なのかとかですね。

授業の割合としては、もちろんホメオパシーが一番多くて75%ぐらいです。次に現代医学が15%ぐらいです。それは、病理・生理・解剖の基礎を知りませんと、現代医学を含めた統合医療ができないからです。そして残りの約10%が、ハーブやマッサージなどの自然療法です。これらをマスターすることによって、統合的にクライアントさんを治癒に導いていくようになれるということです。

インタビュアー: なるほど。

由井学長: もう一つ理由があります。私はこれまで多くのクライアントさんを治してきまして、ホメオパシーの治癒率は高まりました。けれども、治ったのに2年ぐらいたつと、また同じところに腫瘍ができたりする人がいるのです。
これは、身体的な症状は治ったけれど、その人の考え方が治っていなかったということを意味しているのですよ。ある考え方にこだわり続けた結果、腫瘍をつくってしまったのだったら、その考え方を変えない限りは、いったん治ってもまた別な腫瘍をつくってしまうということです。

ですからやはり「病気になるような考え方」をしていたということに気づいてもらわねば、真の治癒には至らないと思うのです。そこでどうすればいいのかと悩んでいたのですが、ホメオパシーの祖・ハーネマンはその著書にこのように書いているのですよ。

「生き方の哲学を知らずに、あれがないこれがないと忍耐なく生きている人間に向かって、くよくよ悩んではいけないとか、そんなに怒ってはいけないとか、そんなに憤慨していたら体に障るというような助言をしたり、適切なレメディーを与えたとしても、レメディーの力は、悔しさや憎しみや自己卑下に使われてしまうから、根本治療をすることは無理だ」と。つまり「人生をどう生きたらいいかという哲学を教わっていない人々には、慢性病の根本治療をしたとしても無理であるから、そういう人間の治療はやめたほうがいい」とはっきり言っているのですよ。

インタビュアー: 憎しみや自己卑下は本当に健康を損なう元凶となるのですね。

由井学長: でも、ハーネマンがそう言った時代から200年たった今、そういう人たちが大勢いますよ。「自分には優しいお母さんがいなかったからこうなったんだ」とか「自分は人生で悪いくじを引いてしまって、いいことが何もなかった」とか。私が相談会で「あなたの人生はどうでしたか」と聞くと、つらいことばかりだったと言う方がたくさんいます。でもその中で楽しいこともあったでしょと聞き直しても、つらかったと言うのですよ。それは本当は妄想だと思います。楽しいことも少しはあったと思うけれど、つらいところばかりに目を向けてしまうという考え方をしているのですね。

インタビュアー: 少しでも楽しさを見いだすとか、感謝するということが、なかなかできていないのですね。
由井学長: 太陽が昇ることだってありがたいじゃないですか。でも今の人たちには、そういう考え方をする人が少ないのです。それはつまり、そういう教育がなされていないということがわかったのです。生き方とか、死とは何かとか、インナーチャイルドをどのように解決するのかとか、どうやって愛を触発して人を愛で包み込むことができるのかとか、足るを知るということも大事ですよね。みんな、実は満たされていて、自分に必要なものは全部あるのよということ。そういう、生きるための哲学を学んでいないのです。学校ではそういうことは教えていませんからね。学校でもそうだし、会社でも社会でも教えないのですよ。ですからホメオパシー以外にも、このような人間教育を重点的にやっていかなければいけないと思いまして、CHhomのカリキュラムの中に生かしています。

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インタビュアー: CHhomでは、インナーチャイルドに関する学びもありますね。

由井学長: 「自分は愛されていない」という妄想はインナーチャイルドの一つの表れで、それがさまざまな病気の元にもなります。CHhomではホメオパシー教育とともに、特にインナーチャイルド癒やしにも力を入れていきますので、学生たちは、自分の小さい時に傷ついた感情や、その想念が癒されていないという事実に気づくところから始めていくことになります。治癒に至るには気づきがとても重要ですが、それは、どうしてもその本人が気づかなければなりません。ホメオパスが代わりにやってあげることはできないのですね。

そのような、気づきのための講演会や、気づきにつながる授業を盛りこんでいっているのが、CHhomのもう一つの特徴です。

インタビュアー: 授業を受けていく中で、人はどう生きるべきかを実体験として学んでいくわけですね。

由井学長: はい。今までそれを誰からも教わっていないのでね。それがわからないから、悔しがったり、足りないものに目が行ったり、今あるものに感謝できなかったりするのですね。

大きな意味でいうと命の創造主の源みたいなもの、そういった大いなるものに対する畏敬の念がわき出てこなければいけないと思うのですよ。川の流れや海や太陽に対してありがたいという気持ち、自然を尊敬する気持ちですよね。私は運よく国立公園の中で生まれましたので、その中でおのずと、自然に対する畏敬の念を持ちながら育ったわけです。これは都会育ちの方にはなかなか感じられないことかもしれません。

自然に対する畏敬の念を持つことによって、自分がもっとすごい大きな力によって生かされているということにたどり着いたときには、母なる命の源に戻るといいますか、とても安心して生きられるようになるでしょう。いいようにも悪いようにも、流れに乗っていきましょうというような気持ちになれると思うのですよ。それがある意味、自然に対する信仰心だと思います。宗教ではなくて、信仰心が必要なわけです。私たちは偉大なものに突き動かされて生きているんだということ。その命の源を理解できたらいいなと思っています。CHhomではそういう教育にも力を入れています。

インタビュアー: 授業は、祝詞と般若心経の奏上から始まるとか。

由井学長: はい。全員でやります。般若心経とか祝詞といった真言を声に出して、バイブレーションとして天に向かって祈ることによって、私たちは自分の中にある信仰心と大きな源に気づくのではないかと思うのですよ。そうすれば、人を殺すようなことは少なくなるだろうし、人をむやみにいじめることも少なくなると思うのですよ。

だから、そのような教育をCHhomからもう一度やろうと思いまして。本来なら小学校、中学校でもいいし、幼稚園でもいいし、そういうところで教えるべきものなのですけれどね。それが教えられていないのが現実ですね。算数より、国語より、もっともっと大事な、人はどう生きるべきかということを、大人になってですけれど、この学校で教えようと思っているのですよ。

インタビュアー: とても大事なことですね。

由井学長: もちろん、教育の中心はホメオパシー医学ですけれど、ホメオパシー医学をやるということは、人の命を預かることです。自分の命を大事にできない療法師は、他人の命を大事にできません。自分の命を大事にし、自分を大事にする人間が、他人の命も大事にし、他人も大事にできると思うのですよ。そういったことも含めて、もっともっと深く心で学べよと言っているのです。

ホメオパシー医学は頭で知識だけを大きくする学びではないのです。ハーネマンさんもそういうことがずっと言いたかったのだと思います。『オルガノン』や『慢性病論』を読みますと、そういう精神的なことが書いてありますから。ハーネマンが本当に伝えたかったホメオパシー医学とは本来、人というのはどう生きたらいいのかということを知らしめるということだと思うのですよ。

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インタビュアー: 今までのロイヤル・アカデミー・オブ・ホメオパシー(RAH)も共存しているのですか。

由井学長: はい。英国教育水準局(Ofsted)認定校のRAH英国本校(ロンドン)は、ホメオパシーの勉強に特化して学べるスクールとして継続します。まだRAH11期、12期、13期の3学年が残っていますのでね。彼ら全員にCHhomに来いというのは最初の約束と違いますので。CHhomはRAHに比べて授業量が3倍近く多いのですよ。RAHの学生は、RAHのカリキュラムだから通える人たちが入ってきているわけです。その人たちに今から3倍やれと言っても、仕事の都合などでその時間をつくれない人がいるのですね。中には編入した方もいますけれど。

ですから、RAHの学生はRAHのままで卒業していくことになります。RAH13期はこれから3年間学ばなければいけないわけです。そしてCHhomはCHhomで開校したわけです。CHhomでやっている祝詞や体操が必要だと思ったら、RAHの学生も早く来て、その部分は一緒にやりましょうという感じですね。

インタビュアー: では、今いるRAHの学生が全員卒業する3年後には、RAHはなくなるということですか。

由井学長: はい、日本ではなくなります。ですからもっともっと、RAHの3倍以上勉強しなければいけない学校になります。入学する方も覚悟して入らなければいけないし、実際に入学してくる人は、より厳選されて少なくなるだろうと思います。

でも私は、真の療法家を育てたいと思っていますので、誰もがやったらいいよということではないのです。やはり人の命を預かる人というのは、自分自身も鍛錬しなくてはなりません。技術や知識はもちろん、心も、そして体も鍛錬する。そういうことができる人が治療家としてやっていけると思うのですよ。

インタビュアー: いろいろな意味で、鍛えられたホメオパスが求められているということですね。

由井学長: 自分の中に傷ついたインナーチャイルドがどっかりありますと、なかなか人を等身大で見ることができないのですよ。人を等身大で見るからこそ、適切なレメディーが選べるのです。ですからホメオパスは、自分の中の感情や自分の体の中は、ある程度きれいにした状態にすべきです。最初はできていなくても、学生として学ぶ間にきれいにしていくことですね。

自分のインナーチャイルドを話すと、自分の弱みを見せるようで嫌だと言う人が多いのですけれど、そんなことはありません。人に自分の苦しみを共有できた人間は強いと思うのです。自分の傷や弱さを他者と共有して、このように傷ついたんだと言うことを吐きだすことによって、それこそ癒やしになるわけです。それまでぐっと秘密にしていた影の部分をどんどんしゃべって出していくこと。それだけでも癒やされて、それにみんなが共感すること。どんな問題にせよ、その人だけの問題ではなく、必ず何かしら共感する部分があるのです。一人の体験をみんなで共有することによって、参加する全員の気づきと癒やしになるのです。問題は自分の中にあって、外にはありませんから。自分の中だけで葛藤や自己卑下をやっていますと、どうしても外の世界に戦争や闘いが起こるのは仕方がないと思うのですよ。

インタビュアー: CHhomは、4年制パートタイムコースになるのですね。

由井学長: 今年開校したのは4年制のパートタイムコースですが、当初、来年からは2年制のインテンシブコースも計画していましたが、ホメオパシー統合医療を学ぶには、日本で4年間じっくりと学ぶことが必要であると判断しました。2年で集中して学びたい方は、RAH英国本校に留学して、2年間のホメオパシー専科としてホメオパシーに特化して学ぶという形となります。

そして、英国本校のカリキュラムは卒業生のためのポストグラジュエイトコースとして1~5ケ月程度の短期留学も可能になりました。その中でも、ストットラー氏の講義に関しては、日本でも、土日のスクーリング終了後に受講選択できるようになりました。加えて、今後は卒業生を対象に洞爺や沖縄などで1週間程度泊まり込みで、フェース・トゥ・フェースで、中継なしで、直接、ホメオパスの皆さんには教えるようなコースもつくっていきたいとも思っています。CHhomパートタイムコースは、従来のRAH パートタイムコースの約2倍の時間数です。 中には洗濯する暇がないとか苦情を言う方もいますけれど、今、働きながら学んでいる苦学生の方も、それが死ぬまで続くわけじゃないです。たった、4年間で終わりますから頑張ってやっていただきたいなと思います。

当校の学生は18で高校を卒業してそのまま来る人はほとんどいません。一度社会に出て働いて、何か違うなと思った人が入ってくるわけです。今までの生き方がどうも息苦しい、生きにくいと思ってくる方々が、救いを求めてこの学校にもう一回学校に入り直すわけです。ですからパートタイム科を潰すわけにはいきませんので、私ももっと一生懸命やっていきます。

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インタビュアー: ほとんどの学生さんが社会人経験があって、自分のために入学して、それでまた療法する立場や教える立場にもなれるということですね。

由井学長: 療法したくて入学してくる方が多いですね。それでまた自分の中にも詰まりがあるので、療法をするための技術を学ぶ。そして自分のインナーチャイルドを癒す。両方の柱でやっていたらいいというのがCHhomのやり方なのですね。

今までのRAHではカリキュラム数が少なかったものですから、自分を癒やすと授業はありませんでした。療法を勉強する方にばかり力を入れていましたら、結局、自分のインナーチャイルドを見つめませんので、弱音を吐けないホメオパスになってしまったのですね。そうしますと自分のことが癒やされていないので、このクライアントさんがなぜこのときに泣いたのか共感できない、心が理解できないということが起こったのです。

自分を理解しませんと、人の心は理解できないのですよ。なぜここでクライアントさんが泣いたかを理解できるのは、自分を理解してあげたときに初めてできることなのですね。RAHをやってきて、やはりここに少し難点があるなと思いましたので、RAHの卒業生には、学校ではできなかったけれど、自宅勉強としてここに力を入れてやるんだよということを申し渡してはありますけれどね。でも皆でやるほうが、こうやればいいのだという方法もわかるし、共有できますから早いですよね。

インタビュアー: どんな人でも必ずそういうものは持っているのですか。

由井学長: もちろんです。持っているから生まれてくるわけですから。インナーチャイルドの問題をもっていない人はいません。多いとか少ないとかの差はあれ、みんな持っています。私も持っているからこそ、私はクライアントさんが持っている悩みをよく理解できるのです。

インタビュアー: それがかえって強みになっているということですね。

由井学長: もちろん。嫌な思いをして苦しい思いをしている人が、よいホメオパスになれるわけです。しかしそれには、インナーチャイルドをある程度乗り越えなければいけません。乗り越えて初めてよいホメオパスになる。乗り越えるためには、自分を見つめる必要がありますよね。自分を見つめるという作業なくしては魂のホメオパスにはなれないでしょう。

今CHhomでやっているのは、「魂のホメオパス」といって、体だけではなく心・感情・魂まで癒やせるようなホメオパスを育てることです。これが私が長い間やりたかった夢の学校なのです。

中には「由井学長は抹香臭い、辛気臭い」「宗教論や哲学のことなんか言ったりして」「こんなことはホメオパシーと関係ないじゃないか」などという人もいます。でもそういう方々も、まだ気づかないのであって、または自分の弱みを見せられないのであって、いつかはそこに気づくのですよ。

インタビュアー: 由井学長の長年の夢がかなったということですが、先生のその情熱の源となるものは何だったのですか。

由井学長: そうですね、私は『医師の迷宮』という書物を残したパラソーサス(パラケルスス)に触発されました。この方は多くの療法を発見して、ホメオパシーに絶大なる影響を与えた方です。500年前に生まれ、名医だといわれたお医者さんで、錬金術師でもあったけれど、悲しい亡くなり方をしています。みんながおまえは偽医者だとか、おまえなんかろくでもないと言って誹謗中傷を受けたのですね。

本当に、真実の人と言うのは誹謗中傷を受けるものなのですよ。私なんかも「由井寅子死にやがれ」とか2ちゃんねるにもさんざん書かれましたし、「希釈・振盪して物質がないものをあなたたちは扱って、こんな魔術師みたいな」などと言う人も大勢いました。17年前にイギリスからホメオパシーを日本に持ってきたときから10年ぐらいは、それはもう大変でした。

でもこの7年間は、私にとっては光り輝くような感じになりまして、うれしかったです。創生期10年間の苦労も吹っ飛ぶような感じがありましたし。

インタビュアー: 一番うれしかったのは何ですか。

由井学長: クライアントさんが治ることがなんともうれしいことでしたし、治った方からお手紙をいただいたり、「ホメオパシーにありがとう」と言ってくれたりすることですね。私自身がホメオパシーによって潰瘍性大腸炎が治ったとき、私はホメオパシーに治していただいたから、これからは私がホメオパシーを勉強して、今までの生き方を全部やめてホメオパシーに貢献しようと思いましたのでね。ハーネマンにお返しできているということですから、うれしいですよね。

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インタビュアー: 最近は、ホメオパシー自然農園にも力を入れていらっしゃいますね。

由井学長: パラソーサスが、「自然の薬局に目を向けない医者は駄目だ」と書いているわけですよ。自然の薬局を求めて、私たちは野に山に森に森林に行くべきであって、このものたちが何に効くのかということを発信しているから、そこに心を開いて目を向けていけば、そのものたちが「私は心臓に効くのですよ」と語りかけるだろうと書いているのです。本当にそうだなぁと思います。

私たちは、そういう目や心や感覚を失ってしまっているわけですよ。そういう薬草や木々や鉱物に目を向けていかなければいけないと思うのですね。パラソーサスは闇の世界で路頭に迷う者たちを救うために、人を治すためにはどうしたらいいかということをいつも考えていて、そして自然に立ち返るということにたどり着いたのですよ。

そういうことが彼の著書『医師の迷宮』に書かれているのですが、それを読んだ時に私は、そうだな、私もずいぶんそういうことをすっかり忘れていたなと思いました。だから、この本に出会って、私はホメオパシー自然農場を作ったのです。自分たちで農場を作っていって薬草を育てるということを始めたわけです。

インタビュアー: 自然は偉大な教師であるわけですね。

由井学長: 自然農園を始めてから、多くのことを自然から教えてもらいましたね。北海道・洞爺とか静岡・函南の自然に咲いているものを採取させてもらって、それは農薬が一切かかっていませんので、素晴らしいハーブになっています。パラソーサスの『医師の迷宮』がなかったら、私は農場を開くところまでいかなかったでしょう。

医師というのは、自分たちがいかに儲けるかということではなくて、病めるものを治癒に導くための心根を持っていなければいけないということも書いてありました。

さらに、学校というのは人々の魂を目覚めさせるものでなければいけないとも書いてあったのですよ。ここに私は三重線を引きましたね。はたしてRAHは人々の魂を目覚めさせるためのことをやっているかどうかって、問いかけたとき、ちょっと苦しかったですよ。そこで、その本を読んだ3年半前に、CHhomのような学校をつくろうと決心したのです。

だから私は、パラソーサスに触発されて自然農場もつくったし、またハーブを採取するときにも、そのような力を発揮しようと私自身も目を閉じて瞑想できるようになったし、また、CHhomという魂を触発できるような学校ができるようになったのです。

インタビュアー: パラソーサスの『医師の迷宮』は、由井学長に多大な影響を与えた一冊なのですね。

由井学長: あの本がなかったら、ここまで私も導いてもらえなかった。500年前の本ですから不思議な本ですけれど、今日は一冊プレゼントしますから、どうぞ読んでみてください。私も感銘を受けたから、あなたもぜひ感銘を受けると思いますよ。

インタビュアー: ありがとうございます。

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インタビュアー: 先生の理想とされるホメオパス像について教えてください。

由井学長: まず忍耐がなければいけませんね。クライアントさんが健康を害した原因というものは、さまざまな心にあるわけです。信じるべきでないものを信じたり、信念の病気を持っていることが多いのです。たとえば自分は駄目なんだとかね。そういう人に、「あなたは駄目でないのだよ。あなたも生かされているんだよ」というところまで導けるかというのが勝負だと思うのですよ。

親は、たとえばお兄ちゃんはいいけれどおまえは駄目だ、という言い方をするので、「駄目だ」という刷り込みをされてそういう信念を持つようになるわけですよ。その信念が間違っているのだとしっかり理解させるようなところまで持っていかなければいけないのですね。

もちろん、病気治療は絶対にしなければいけません。その上で、さらなる治療は心・魂の治療ですよ。だから、病気が治ったとしてもクライアントさんは相談会に来続けてくれなければいけません。そういう考え方をする癖を持っていますのでね。

インタビュアー: 次の段階は、その癖にいかにして気づかせるかということなのですね。

由井学長: それには言葉のレメディーが必要だと思うのですよ。クライアントさんとの会話ですね。それにはやはりホメオパシーだけではなくて、哲学書とか、にいかに生きるべきかというような本も読んでいなければいけないし、それなりの体験もしていなければいけないと思うのですよ。

「そんな考えでは駄目ですよ」と言うだけではなくて、しかるべきタイミングで必要なひと言を言ってあげられるということが大事ですね。だから忍耐を持たなければいけませんよね。本人が理解できる時というのがあるのであって、最初にバンと言ってのけてしまったら愛がないのですよ。それはクライアントを受け入れていることにはなりません。

受け入れるというのは、その人が理解できる時まで待つということ。だから忍耐がいるのですよ。

私たちが「症状がありがたい」と言ったって、そんなの苦しい時にあなたたち何を言ってるの! となるのです。そうしたら「ごもっともです」と言えばいいのです。「ごもっともでしょうね。大変ですね。それでも少しずつ体は老廃物を出しているのですよね」と言えばいいし、「何を言っているんだこいつら」と言われても、辛抱することです。本人がわかるべき時がきたらわかるのだから。

「先生、本当に症状はありがたいですね」と言うときが来たら、もう拍手だと思うのですよ。それにはただ、こつこつと忍耐をもってやるということがとても大事だと思います。

インタビュアー: 忍耐のほかには。

由井学長: じれない、あわてないということ。等身大で人を見るということ。自分の中にいろんなインチャの曇りあったら、この人は○○に傷ついたに違いない、というような思い込みや錯覚を起こしかねないということ。自分が癒えていないと、等身大で見えませんよね。

ホメオパスというのはそのように、インナーチャイルドを癒やしつつ、もちろん技術としてはハーネマンに立ち返る病気を治す技術を、私から学んでいかなければいけないと思います。それは本だけでは学べないことだと思うのですよ。

病気を治す技術と自分自身を癒やす技術と自分の言葉、それらがクライアントさんの心に響くような技術を持たなければいけないということです。

インタビュアー: 言葉がレメディー......。

由井学長: そうです。言霊(ことだま)というのは、その人に響きます。

時間をかけずに早く身につけるとか、いいとこ取りをしたい人たちが多いのですが、学生たちには、カメになった気持ちでじっくりやりなさいよと言っています。自分がこつこつやらなければできないのよということ。学ぶということは、一歩一歩、こつこつですよ。一気にバンと学んだって、一気にすべて忘れてしまうわけですから。地道にこつこつやる、その道しかないのですから。

私も最初イギリスの学校へ行っているときには「先生はなんでこんな遠回しな言い方をするんだろう。ぱっと言えばいいのに」と思っていましたけれどね。でもやっとわかりました。20年このような療法家をやってきて、本当にこつこつしか学べないのだということをね。人間の霊性も、こつこつとしか上がっていきません。高望みをすれば変なことになりますからね。

インタビュアー: 教え方もそういう教え方をする学校であるということですね。

由井学長: そうですね。

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インタビュアー: 忙しい世の中ですけれど、確実にしっかり勉強したい人のための学校ですね。

由井学長: 現代の風潮と逆になっているかもしれませんけれど、こつこつ学ぶものが勝ちます。カメが勝つのですよ。焦るものはやっぱり負けるのですね。急いで何でもかんでも取ろうとするものは、最終的には負けます。一つのものに特化してやる者が最終的には勝ちます。

要するに一つ一つじっくりやるのと、ばーっと読んでやるのとでは、やっぱりこつこつとやった人の方が勝つのですよ。駆け足でやった人は、結局また一からやり直さなければいけなくなります。こういう学び方を、多くの学校で教える必要があると思いますね。すぐに手軽に早く学べるというやり方を強調するのは、あまりよいことではないと思います。

インタビュアー: それをどこの学校でも教えるということは大事ですね。

由井学長: また、教えるには生徒たちの心をつかまなければいけません。こちらが心を開いていないと生徒も心を開きませんから、心を開いて教えるということ。生徒を愛することをしませんと、生徒は技術ばかりが卓越したろくでもない人間になる。教育の大切さは、先生がどういう人格であるかが最も問われると思うのですよ。先生がものすごく鍛錬していなければ。

偽善であってはいけない。だから、怒るにしても、やっぱり心からこの子のためと思って怒っているかどうかを、もう一回問いかける必要があると思うのですよ。自分が腹が立っていたからといって、やみくもに怒っていたら生徒はすぐにわかりますし、また先生が上っ面の嘘ばかり言っていると、生徒はすぐ見抜くでしょう。しっかりと本音で勝負ですから、先生がボロボロ泣くことも必要だと思います。涙を流すことは弱いことではないし、生徒の前で涙を流したら、生徒も泣けるようになると思うのですね。

インタビュアー: それはホメオパスにとっても言えることですね。

由井学長: そうですね。私は昔、クライアントさんがつらい話を打ち明けてくれているときや悲しいことを言っているときに、泣いてはいけないと教わっていましたので、ぐっとこらえて泣かなかったのですよ。プロは泣くなと言われていましたから。

そうしたら、思わず言葉がきつくなるのですよ。泣いてはいけないと自分の感情を抑圧していますから、「ほら! ティッシュここにあるよ!」なんてきつい言い方をしたりしてしまうのですよ。自分が泣きたくないがために、すごくきつい言葉を相手に返してしまうことがわかったときに「なんだ、ホメオパスも人間だから泣いたらいいんだよね」と思ったのですよ。それで、もういいわと思って、一緒に泣くようになったのですよ。そうしたらすごく楽になって、クライアントさんもすごく喜んでくれるようになりました。

私自身が泣いてはいけないと教わっていたので、私も同じように学生に「泣くな」と教えていたのですけれど、生徒にも「泣いたらいいんだよ」と教え始めたら、うちの学生やホメオパスたちは「よかった。先生、楽になった」と言うのです。だから、先生であっても学生の前で泣いたらいいと思います。

インタビュアー: 人間的な療法ですね。
由井学長: ですよね。ホメオパシーは現代医学に代わる最後の療法だと思っていますので。だから、療法家は何としても自分を磨いて霊性の高い人であってほしいな。技術の小手先だけでやってもだめなのよね。生き方を変えないでそのままやってしまうから、人の心に深く作用せずに、また同じ病気になってしまう。

先般もドイツで、由井先生が発達障害児のケースについて、約300人のホメオパスの前で発表しまして、大きな反響を呼びました。今、日本の由井メソッドは国際的にも注目されています。

いま私たちは大事な時期にきていると思います。日本のホメオパスが治癒させた症例を世界のホメオパス達にどんどん突きつけていきたいと思うのですよ。

医原病の深刻さに関しても、ホメオパス自身が大手を振って主張できていないのですよね。それは製薬会社やお医者さんを敵に回したりすることになるので、勇気がなくて黙っているわけです。しかし、黙っていたら発達障害の人たちは減っていかないのですよ。予防接種がこのような被害を出しているのだということを、堂々と言っていかなければいけない時代がきたと思うのです。

私たちに対するあつれきも強いですけれど、事実はそのあつれきに負けないのですよ。子どもたちが犠牲になるのは、ものすごくかわいそうです。親の無知によって、子どもたちが犠牲になることは許せないと思います。発達障害の子どもたちは言葉を話しませんけれど、心で話をすると、彼らは本当に自分本来の魂を生きられなくて苦しんでいますよ。

人間が自分の魂の目的をこの世でまっとうできないのは、最もかわいそうなことだと思うのですね。ですから私は、そこに力を入れて、こうやって予防接種を希釈・振盪したレメディーを与えるとこんなに改善するのですよという症例を、世界に発信することをやめないのです。

ドイツはハーネマンが育ったホメオパシー先進国です。日本はまだホメオパシーが20年もたっていないホメオパシー後進国です。日本はホメオパシー後進国でありながら、発達障害・医原病に関して私が世界でトップのホメオパスになったのは、日本人が世界でもいかに多くの薬をとっているかということです。だからこそ私は、結果的に日本で実験ができたというわけですよね。悲しい実験ではありますけれど。

ヨーロッパでも自閉や多動の子どもたちが多くなってしまいました。これは予防接種を推進する輩が増えてきたことを意味しています。ですから、これから私のこのような研究が日の目を見て、人間の無知と言うかこういうバカげたことはもうやめようじゃないかとなるまで、私は活動を続けていくつもりです。発達障害の子どもたちに人権(!)をという感じです。

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